命 突然声をかけられ驚きながら振り返った。
L Eさんよね。
E はい。
L やっぱりEさんだ。
SNSでヘイトスピーチをやっていたLです。
同じ地獄に落ちたのね。
E え!
ここは、地獄なの?
L そうよ。
地獄だと気がつくまで時間がかかった。
ヘイトスピーチで罪に問われたの。
だから、SNSを辞めた。
捕まったことで罪を償ったと思っていた。
病気で死んだ。
気がついたら、数え切れない人々がパソコンやスマフォを見て悲しんでいた。
人々が読んでいたのは、私が書いたヘイトスピーチ。
人々に罵られた。
「お前が書いた文章で俺達は悲しい思いをしている」と言われた。
E ここで?
L 違う場所だと思う。
L ストレス発散のためにやった。
気軽にやった事が多くの人を傷つけた事に気がついた。
殴ったりケガをさせていないから罪にならないと思っていたの。
そうではないことに気がついた。
だから、一人一人に謝罪した。
謝る度に人が消えていった。
何万回、謝ったのかさえ分からない。
最後の一人に謝ると場面が変わった。
気がついたら、ここに居たの。
E 謝ればいいのね。
L 一生懸命に謝ったけど駄目だった。
ここに居る人達は、私の存在に気がつかない。
E ・・・
○ 命、何が起こっているのか説明が必要だよ。
命 そうね。
Lさんは、今いる地獄より深い地獄に落ちたの。
Eさんより重い罪を犯したから、三途の川を渡ることもなく一直線に地獄に落ちた。
3次元の時間で50年間謝り続けた事で浅い地獄に異動したの。
○ 50年間謝るなんて・・・
命 多くの人を傷つけたからよ。
○ ヘイトスピーチをやっている人達は、この話を知らない。
命 そうね。
知っていたら、ヘイトスピーチなんてやらない。
Eさん、Lさんと同じ学びが必要なの。
○ そうだね。
地獄も学びの場なんだ。
命 そうよ。
E どうすればいいの?
L 分からない。
命 二人は、ここから出る方法を一生懸命に考えた。
答えが見つからない。
途方に暮れた。